今なお救出活動が行われ、増え続ける犠牲に胸が痛む。避難環境も悪化している。被災者の命を守るために、国際社会は支援を継続する必要がある。

 ミャンマーで3月に起きたマグニチュード(M)7・7の大地震から28日で1カ月となった。

 軍事政権によると、これまでに国内で3769人が亡くなり、107人の安否が分かっていない。現地に住んでいた日本人男性1人の死亡も確認された。

 隣国タイでも建設中のビルの倒壊現場などで70人近くが死亡し、32人が行方不明になっている。

 猛暑の中、がれきの下敷きになった人々の救出が現在も続いている状況は歯がゆいばかりだ。救出の速度を上げなくてはならない。

 国連開発計画(UNDP)によると、多くの医療施設で深刻な被害があり、負傷者らの治療が追いついていない可能性もある。

 被害が大きい住宅や公的機関の建物は1万棟以上とみられ、撤去が必要ながれきは250万トン、トラック12万5千台分に上る。

 軍政は、住宅被害は6万3千棟以上としている。UNDPの把握数とは異なるが、いずれにしても甚大な被害だ。復興に国際支援が必要なことは明らかだろう。

 被災地には強い地震に耐えられない構造の住宅もあり、地震でもろくなった建物が倒壊する二次被害が出ている。雨期の豪雨によっても被害が拡大しかねない。

 テント暮らしを続ける被災者が多いという。竹の柱にビニールの屋根を付けただけの仮設住宅で生活する人もいる。

 現地は蒸し暑く、感染症が流行する恐れがある。屋内で暮らせる環境を早く整えねばならない。

 危惧するのは、軍政に大災害対応の経験がないことだ。軍政は住宅再建などに何の方針も示せていないと指摘される。

 国軍の支配が及ばない地域では支援物資の運搬が規制され、物資が被災者に行き届いていない。

 2021年のクーデターで全権を握って以来、孤立主義的な姿勢を取ってきた軍政だが、今回の地震では、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国や国連に異例の支援を求めている。

 地震後、国軍は内戦状態にある民主派武装組織などとの戦闘を今月22日まで一時停戦するとし、さらに30日まで延長した。

 しかしこの間も戦闘は収まっておらず、救援活動をする上で安全な環境とは言えない。

 支援を必要とするなら、国軍はASEANなどが求める停戦にしっかりと応じるべきだ。

 日本は国際緊急援助隊医療チームが活動を終え、続いて国際協力機構(JICA)の職員が支援ニーズを調べるため現地に臨む。

 地震大国の日本が培った知見を存分に生かし、着実な復興と被災者支援につなげてもらいたい。