
経済評論家の岩本沙弓さん
2025年7月の米雇用統計では、過去2カ月の非農業部門雇用者数が合計25万8千人下方修正された。その結果、直近3カ月平均の雇用者の伸びは3万5千人にとどまり、コロナ禍後の最悪の数字となった。トランプ米大統領は、この統計は偽造されたものだと主張し、すぐさま2023年にバイデン前大統領が指名した米労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長の解任を指示した。
政治介入による政府統計の独立性や信頼性の低下を不安視する声は多いが、以前から米雇用統計の速報値と確報値には乖離があり、その精度が問題視されてきた。
米雇用統計は単なる景気判断にとどまらず、金融政策や議会の政策立案にも影響するた...
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