亡くなった大津市立中2男子の父親が「いじめ防止対策推進法」の成立後に記者会見=13年6月
 亡くなった大津市立中2男子の父親が「いじめ防止対策推進法」の成立後に記者会見=13年6月
 大津市立中2男子のいじめ自殺を第三者委員として調査した筆者(右端)。報告書の提出後に当時の越直美市長(左端)らと記者会見した=2013年1月
 大津中2男子いじめ自殺の第三者委報告書。事件は「いじめ防止対策推進法」制定につながった
 いじめ防止対策推進法の施行に伴い、2013年度からインターネットを通じた行為も定義に含まれるようになった
 筆者は大津の事件の11年後、北海道旭川市立中2女子のいじめ再調査委員長に。自殺との因果関係を認める報告書を市長に提出、記者会見した=24年9月1日
 大津中2男子の死から13年。通っていた市立中で開かれた「命を思う集い」=24年10月11日
 文部科学省がホームページで紹介しているいじめなどの主な相談窓口
 尾木直樹

 前回の『いじめが彼女を追い詰めた』では、2021年に北海道・旭川市立中2年の広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=が凍死した事件について、筆者も参加し、いじめと自殺の因果関係を認めた再調査委員会の報告書(24年9月に市が実名で公表)のポイント等をお伝えしました。

 今回は、2011年10月に大津市でいじめを受けた市立中2年の男子生徒=同(13)=が自殺し、後の「いじめ防止対策推進法」成立(13年)の契機となった大津いじめ事件で第三者調査委員を務めた経験を振り返り、大津、旭川二つの調査委員会の活動を通して見えてきたことや、今後の課題について考えてみたいと思います。

 ▽「第三者」が調べる意味

 大津...

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