2025年10月8日の涸沢。ナナカマドが真っ赤に染まり、日本一の山岳紅葉といわれます。奥に見える北穂高岳(中央)や涸沢槍(左)とのコントラストが素晴らしかったです。
 2025年10月8日の涸沢。ナナカマドが真っ赤に染まり、日本一の山岳紅葉といわれます。奥に見える北穂高岳(中央)や涸沢槍(左)とのコントラストが素晴らしかったです。
 1981年8月、高校1年の夏に初めて訪れた上高地・大正池にて。今ではこれほどボートが浮かぶことはないでしょう。当時はまだ、枯れ木立も多かったですが、次第に倒れて水没していきました。
 2025年10月6日夜。前穂北尾根から昇る中秋の名月。雲がわきたつ中、ぼんやりと、しかし色艶やかに名月が輝いていました。
 山岳フォトグラファーの渡辺幸雄さん

 はじめまして。山岳フォトグラファーの渡辺幸雄です。僕はいま、穂高連峰の懐深い涸沢(からさわ)にいます。「涸沢の紅葉を見ずして穂高を語ることなかれ」といわれるほど、涸沢の紅葉は穂高を代表する風景です。今年は9月になっても夏が終わらず、秋がなかなか進みませんでした。紅葉の見ごろも少し遅くなるかなと思っていたのですが、ふたを開けてみれば例年並みの10月上旬になりました。

 紅葉がピークになる日を僕は、「涸沢の紅葉日」と呼んでいるのですが、今年は10月6日がそうでした。2014年以来の素晴らしさで、赤や黄色、オレンジの豊かな色彩を堪能でき、幸せな気分で過ごしています。

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