
任期満了に伴う新潟県柏崎市長選は11月10日告示、11月17日投開票される。柏崎市政は、JA県厚生連県内11病院を運営し、県病院局(県立病院)と並んで新潟県の地域医療の二大ネットワークとされる。へき地や離島などの医療を担う。新型コロナウイルス関連の補助金の影響で2020〜22年度決算は黒字を計上したが、23年度決算は過去最大の36億円の赤字となった。人口減少や物価高などが要因。同じく経営危機に陥る県立病院と協議しながら経営改善に取り組んでいる。病院の経営危機や東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の再稼働問題、まちなかの衰退など、課題がいくつも積み重なっている。各課題の現状をまとめた。(3回続きの1)
「どうして泣いているのー」「着替えようか」
赤ちゃんに、助産師の星野ユリ子さん(54)が穏やかに声をかける。JA県厚生連柏崎総合医療センター(柏崎市北半田2)の新生児室では、出産間もない母親が検査などを受ける間、赤ちゃんは看護師らに見守られながら過ごす。
医療センターは、柏崎刈羽地域で分娩(ぶんべん)を扱う唯一の医療機関で、2023年度の分娩数は276件だった。住み慣れた地域でお産したいという願いに応え続けている。
産科だけでなく、救急医療においても医療センターの存在は欠かせない。救急搬送の約8割が運び込まれ、1日当たりの外来患者数(救急を含む)はここ数年、700人前後で推移する。
内科や外科、放射線科など24の診療科があり、手術やがん治療にも当たる。相田浩病院長(60)は「地域の総合病院としてさまざまな症状に対応する必要がある。病院の『体力』が問われる」と説明する。
7月、地域医療の要を揺るがす事態が明らかになった。柏崎総合医療センターを含め、新潟県内11病院の運営母体である県厚生連が、年間で60億円以上の赤字見込みを公表。職員賞与の削減方針などを固め、赤字幅は圧縮される見込みだが、2025年4月に運転資金が不足する可能性がある。
柏崎総合医療センターの高橋潤一郎事務長(50)は、新型コロナウイルス後の入院患者減少や診療報酬の改定に加え、薬や手術用の手袋、器具などさまざまな医療用品の価格高騰が打撃になったと説明。「手当に踏み込むしかない状況だ」と苦渋の表情を浮かべ、自助努力も限界だと語る。

柏崎市は人口当たりの医師数が少ないこともあり、医療センターが果たす役割は厳しい財政事情にあっても、大きくならざるを得ないという。
柏崎市は以前から財政面で支援してきた。市国保医療課によると、救急に必要な資機材導入などに充てられる補助金などを設け、23年度は市の一般財源から1億8800万円を繰り出した。
市国保医療課の担当者は「市民にとっては『なにかあったら医療センターに』という...