「こーい、こい」の呼び声とともに、餌を与える3代目白鳥おじさんの齋藤功さん=阿賀野市水原
「こーい、こい」の呼び声とともに、餌を与える3代目白鳥おじさんの齋藤功さん=阿賀野市水原

 新潟県阿賀野市水原の瓢湖が、ハクチョウの飛来シーズンを迎えている。この時季の瓢湖に欠かせない存在が「白鳥おじさん」だ。2024年は初代の故吉川重三郎さんが瓢湖でハクチョウの餌付けに成功してから70年となる。現在は3代目の齋藤功さん(75)が、ハクチョウに深い愛情を注いだ先人の志を受け継いでいる。

 吉川さんは、1950年に戦後初めてハクチョウが瓢湖に飛来して以来、双眼鏡で鳥たちを観察しつつ餌の研究を続け、54年2月に国内で初めて餌付けに成功した。水原郷土誌料第29集(水原町教育委員会編)によると、吉川さんは「動物を信頼させるには一度でもだましてはならん。ハクチョウに餌を与えるのではなく、自分がハクチョウになりきることだ」と語っていたという。

 瓢湖の餌付けは当時、海外にも注目された。60年に、旧ソ連のモスクワで日ソ漁業交渉が行われた際、重苦しい交渉が続く中で、日本側が瓢湖の餌付けについて映写で説明するとソ連側は感嘆。雰囲気はすっかり和やかなムードになり、順調に成果を挙げた。

 63年にはソ連の新聞記者が瓢湖を訪れ「バレエ『白鳥の湖』の世界が瓢湖で実在している」とたたえた。

瓢湖の湖面を飛び立つコハクチョウ=阿賀野市

 齋藤さんは2013年に就任。午前9時、...

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