茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
 茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
 夏目漱石
 トランプ次期米大統領=11月13日、ワシントンの連邦議会(ロイター=共同)
 兵庫県知事選で、大勢の有権者の前で街頭演説する斎藤元彦氏(上)=11月16日、神戸市
 ウクライナの人気コメディアンだったゼレンスキー大統領=2019年2月(ロイター=共同)
 茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)

 最近の国内外の風潮を見ていて気になるのは、強ければいい、勝てばいいとでもいうような一部の雰囲気である。

 日本でも世界でも、強いものが正しいとの考え方が昔からある。日本のことわざで「無理が通れば道理が引っ込む」、あるいは「勝てば官軍」と言われる。夏目漱石が小説『坊っちゃん』の中で「強者の権利」と訳したのは、英語のmight is rightという表現だった。

 選挙において、伝統的なやり方や価値観に縛られない形で当選した為政者が、強気の政治姿勢になるケースが見られる。その際、それまでの不祥事やトラブルが「帳消し」にされることも多い。選挙で勝ったのだから、それで「禊(みそ)ぎ」は済んだと考える有権...

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