
県内2地銀が広告媒体事業に乗り出している。店舗に設けたモニターで取引企業などのPR動画を流す。銀行法改正による業務範囲拡大を受けた取り組みで、販売促進や知名度向上、ブランディング強化といった地域企業活性化の支援を目的としている。
長岡市、長岡駅前にある大光銀行本店1階。通りに面して設置されたモニターには、自行のコマーシャルのほか、建設業や飲食業、製造業の動画が流れている。
同行が「たいこうデジタルサイネージサービス」として2月上旬にスタートさせた。野村総合研究所(東京)が提供する金融機関向けのディスプレーサービスを利用。1枠15秒で月に約2700回放映され、基本的に料金は月2万円(税別)となっている。
コマーシャル用のモニターは本店と新潟駅南支店(新潟市中央区)に設置。2月末時点で5社から申し込みがあった。ニーズに応じて設置店を増やす計画だ。
第四北越銀行(同)は、2021年11月から店内のモニターで広告を放映している。全店やエリア限定など、プランによって異なる料金を設定。25年2月末時点で、建設業や小売業、製造業、医療機関など延べ約80社が利用した。
第四北越銀は自治体などを念頭に「各地域の観光などをPRする媒体としても有効だ」と利用を呼びかけている。
両行が広告媒体事業に参入した背景には、銀行業務に対する規制緩和がある。銀行法は、銀行の健全経営維持を目的として業務範囲に一定の規制を設けている。21年の法改正により、デジタル化や地方創生といった社会課題に対応する業務などが認められた。人口減少によって地域経済が縮小する中、その核である銀行の収益力強化や地域活性化を図るのが狙いだ。
経営課題解決に向けたサービス充実など、地域金融機関に対する企業のニーズも変化している。東洋大の野崎浩成教授(金融論)は、中小を含む企業の自己資本比率が上がっているとした上で「企業があまりお金を借りなくなっていて、事業再生や事業承継への支援にニーズが変わってきている」と話す。
こうした現状を受け、各行は広告事業を検討。メガバンクや一部地銀が、自行のアプリやATMに広告を掲載するサービスを始めた。
大光銀は...