
2023年に新潟市の小学校5年(当時)の女子児童が自殺を図り、一時意識不明の重体となった問題で、市教育委員会は20日、いじめが自殺未遂の「主たる原因と推認できる」とする第三者委員会の調査報告書を公表した。学校はいじめに組織的に対応する意識が欠けていたと指摘。女子児童への揶揄(やゆ)を助長しかねない担任の発言も認定した。
市教委は20日、いじめが発生した当時の校長と教頭、担任の3人を懲戒処分にした。いじめへの組織的対応が不十分だったことなどが理由。
報告書によると、女子児童は22年の夏休み明け以降、クラスの複数児童から陰口や悪口、避けるような言動などのいじめを受け、23年4月に自殺を図った。
女子児童は被害を担任と教員に訴えたが、十分な対応がなく「孤立感、無力感を深めた」と推測。直筆の文章などから「いじめが強い苦痛を与えたことが自殺企図の主たる原因と推認できる」とした。家庭状況の不安定さなども「背景要因として影響を及ぼしていないとはいえない」とした。
学校について「組織的、計画的にいじめ対応をする意識自体が欠けていた」と指摘。相談を受けた担任と教員が管理職に報告していなかったほか、年3回とされるアンケートは2回しか行われていなかった。女子児童に関する同級生の言葉に対し、担任が「同様の認識をしている印象を与え、揶揄を助長しかねない発言」をしたことも認定した。
女子児童は中学に進んだが、心の傷が大きく、父親は取材に「憤りと悲しみをどこにぶつけたらいいのか」と吐露した。いじめや教員の不適切な発言の一部が認定されなかったとし、市に再調査を求めたという。
20日に報告書の答申を受けた市教委学校支援課は「真摯(しんし)に受け止め、再発防止策を確実に進める」とした。市教委の懲戒処分は、当時校長だった市教委の60代女性職員が減給10分の1(2カ月)、当時教頭だった市立小学校の40代男性教頭と、担任だった市立小学校の30代男性教諭はそれぞれ減給10分の1(1カ月)。
◆2回の被害相談、管理職に報告上がらず 組織的対応の意識欠ける
いじめが原因で新潟市立小学校の女子児童が自殺を図った問題で、児童からのSOSに対し...