資本提携で生まれる強みを、疲弊した地域経済の再生に生かしてもらいたい。

 大光銀行(長岡市)は、SBIホールディングス(東京)と資本業務提携を締結した。SBIが大光銀の発行済み株式の3%を上限に取得し、大光銀も3億円を上限にSBIの普通株式を取得する。

 SBIは、全国の地銀と連合を組んでメガバンクに対抗する「第4のメガバンク構想」を進めており、地銀への出資は9行目となる。今回の提携で本県での顧客基盤を強化するのが狙いだ。

 大光銀は、SBIグループが持つデジタル技術など多様なノウハウの活用が期待できるという。

 企業のビジネス変革に欠かせないデジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素などSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを支援する考えだ。

 石田幸雄頭取は会見で「顧客のニーズが多様化する中、金融仲介業だけでは十分ではない」とし、総合サービス業への転換を進める考えを強調した。

 地銀は地域に密着し、中小、零細が多い地元企業に適切なサービスを提供する責務を担っている。

 提携により魅力をさらに磨いてほしい。それと同時に求められるのは、地域の活性化に向けた積極的な後押しだ。

 長引く感染禍やウクライナ危機などによる原材料価格の高騰、急激な円安で、県内経済も先行きに不透明さが増している。

 企業が新型ウイルス対策として受けてきた実質無利子・無担保の公的支援は今後は返済が本格化する。融資を活用し、返済に不安を抱えている企業もある。

 石田頭取は企業に対し「売り上げの改善や生産性向上など伴走型の支援をしていく」との決意を示している。地域への貢献を最大限果たしてもらいたい。

 人口減少や超低金利の長期化で金融業界は厳しい経営環境に置かれている。各地銀は危機感を強め、連携や統合を進めて経営基盤の強化を図っている。

 そうした動きがある中での資本提携には、「大光銀がSBIの傘下に入るのではないか」と不安視する顧客もいるという。

 大光銀は「経営の独立性を尊重した対等な立場だ」とし、“救済型”の資本受け入れとの見方を否定する。顧客が不安に陥らないよう、丁寧な説明が求められよう。

 県内の金融機関は、最大手の第四銀行と2位の北越銀行が2021年1月に合併し、第四北越銀行(新潟市中央区)が発足した。

 今年4月には、はばたき信用組合(新潟市江南区)と三條信用組合(三条市)が23年12月をめどに合併すると発表した。

 地域金融の再編を顧客サービスの健全な競争につなげ、県内経済の活力を生み出すものにしていかなければならない。