
香山リカ
地域の第一線で医療に従事する医師たちが集まる「日本プライマリ・ケア連合学会」の学術大会が札幌で開催され、私も参加した。プログラムの中では、北原モコットゥナシ北海道大学教授の講演「つないでほどく アイヌ/シサム(和人)を例に~マジョリティとマイノリティを考える」がとても印象的だった。
北原教授は「日本に住むマイノリティ(少数者)であるアイヌ民族をアイヌではない医師が診察するとき、思わぬことが起きる場合がある」と言う。たとえば、アイヌの患者が腰の痛みで受診したとき、医師から痛みとは直接関係のない外見や体毛に視線を向けられすぎることにより、傷つくことがある。医師側は「好奇の目で見たのではない。気に...
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