松久保肇・原子力資料情報室事務局長
 松久保肇・原子力資料情報室事務局長

 政府は今年2月、エネルギー基本計画を改定した。原子力については、東京電力福島第1原発事故以来維持してきた「依存度低減」から「必要な規模を持続的に活用」へと大きく転換した。この重大な政策転換以降、初の国政選挙となる参院選では、国の将来を左右するエネルギー政策や原子力政策が、本当にこれでよいのかが、問われねばならない。

 重要な論点は原発の経済性だ。政府は電源種別の発電コストを推計し、原発は「他電源と遜色ないコスト水準」だとしているが、これには大きな問題がある。

 原発の発電単価に大きく影響する建設費を7200億円と見積もったが、欧米では軒並み2兆円を超え、発展途上国も1兆円を超える。日本の原発建設...

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