香山リカ
 香山リカ

 参院選が終わった。今回ほど「心理戦」が鍵になった選挙はなかっただろう。心の専門家としての立場からその話をしたい。

 これまでの選挙では、「一票を託す」という言い方が示すように、有権者はもっとも信頼できそうな候補者に投票し、自分の願いを政治の場で実現してもらっていた。いくら理想的な主張をしても、その経験や実行力に不足があると思われる人は当然、票を集められない。

 ところが今回の選挙では、そういった基準より「有権者ひとりひとりの共感をどれだけ集められるか」が勝敗のポイントだったように思う。

 たとえば影響力のある、いわゆるインフルエンサーがSNSで「あの候補者の主張は、私がずっと思っていたことと同じだ...

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