谷口将紀・東京大教授
 谷口将紀・東京大教授

 石破茂首相が退陣の意向を表明した。事実上の「政権選択選挙」と位置付けられた7月の参院選で、非改選議席を合わせて自民、公明の両与党で「過半数」という、通常であれば容易に達成できるはずの低い勝敗ラインを自ら設定したにもかかわらず、クリアできなかったことが致命的だった。

 首相は昨年10月の政権発足以来、裏金問題などで落ち込んだ自民党の党勢を回復させようと努めたが、結局その道筋を示せないまま衆院選、東京都議選、参院選と大きな選挙で3連敗した。しかも参院選では自身が設けた基準で自縄自縛に陥る形となった。

 総裁選前倒しの要求が勢いを増し、退陣表明に追い込まれたのは、やむを得ない。結果論ではあるが、3連敗...

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