能登半島地震から1カ月余りが過ぎ、宅地が陥没して住宅が傾くなど、液状化による深刻な被害の広がりが鮮明になっている。

 自宅に住めなくなった人もいる。生活再建をどう進めるか悩んでいる人は多いだろう。

 一日も早く元の生活に戻れるように、関係機関は被災者にしっかりと寄り添い、適切な支援に全力を挙げてもらいたい。

 地震による県内の住宅被害は5日時点で全壊92棟、半壊2112棟、一部破損1万2884棟の計1万5千棟以上になった。今後も増える可能性がある。

 このうち新潟市が1万棟以上を占めている。特に西区で液状化による被害が際立っている。江南区の一部地域でも被害がある。

 建物被害認定調査を行っていた他の自治体職員による応援部隊は、調査に一定のめどが立ったとして活動を終え、今後は新潟市職員が約90人体制で調査を進める。

 公的支援を受けるために必要な罹災(りさい)証明書の申請件数は1万件を超えている。なるべく早く証明書が交付されるよう、行政は尽力してもらいたい。

 新潟市では、自宅に住めなくなった被災者に向けた市営住宅への入居の抽選が行われたが、3分の2が抽選から漏れた。1月末で閉鎖した避難所もある。落ち着いて生活できる環境整備を急ぎたい。

 市は独自に住宅の建て替えや購入の費用、市営住宅などに引っ越しをする際の費用を補助する。全8区で被災相談窓口を設けている。不安がある被災者は積極的に利用してほしい。

 今回の液状化被害は、国土交通省北陸地方整備局などが作製した「液状化しやすさマップ」で危険度が高いとされている地域だった。1964年の新潟地震で液状化した地域とも重なる。

 液状化は復旧に時間がかかるとして、国は専門チームを設け自治体を支援する方針だ。財政面を含めた対策を講じてもらいたい。

 今回の地震で石川県では、現行の耐震基準の導入以前に建てられた古い住宅の倒壊が相次いだ。

 現行の基準は建築基準法の改正により81年に導入され、震度6強から7程度の大規模地震でも、人命に関わる倒壊が起きないことを目指している。

 古い基準で建てられた住宅の改修や補強を進めたい。政府は2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消しようと、補助金を出して改修を促している。

 費用負担がかさむ改修以外にも、目視では分からない柱の状態の耐震診断といったことも有効だという。寝室や居間など住宅の一部に、耐震性の高い箱形の個室を設置するような対策もある。

 命を守るために、できることから始めたい。