被災者が安心して暮らせるよう生活再建を急がねばならない。JR新潟駅のリニューアルを生かした魅力と活力あふれる街への発展も求められる。市長のかじ取りを注視したい。
新潟市は2024年度当初予算案を発表した。一般会計総額は過去最大の4185億円で、23年度当初より208億円増えた。
能登半島地震からの復旧費や人件費上昇などが押し上げ、初の4000億円台に達した。
中原八一市長が前面に打ち出したのが、災害復旧や物価高などに対応する「安心・安全」への取り組みだ。元日の地震を受け急きょ柱の一つとした。地震対応は118億円を計上し、23年度補正予算と合わせ300億円超になる。
新潟市内では1万2千棟を超える住宅被害が出た。移転を余儀なくされるなど、これからの生活を不安に思う人は多い。一日も早く日常生活を取り戻せるよう市は全力を挙げてもらいたい。
液状化対策では実態把握調査を行う。専門家の知見も交え、効果的な施策を見つけたい。新潟地震から60年になる。防災・減災対策に力を注いでほしい。
路線バス網の充実は欠かせないが、バスの運転手不足などで、新潟交通は16日、来月のダイヤ改正での減便を発表した。
市は、新潟交通とBRT(バス高速輸送システム)運行事業協定に代わる新協定に基づき、新たな運転手の確保に向けた助成を行う。これ以上の減便を避け、郊外線を含めた持続可能な公共交通とすることが不可欠だ。
路線バスは来月、新潟駅の高架下を通り駅の南北を縦貫する新路線ができる。南北市街地が一体化するほか、新潟駅は新たなバスターミナルや商業施設などがオープンし、活性化が期待される。
市長は「まちづくりの大きな転換期。交流人口拡大のチャンス」と捉えている。多くの人が訪れたくなる魅力を発信し、拠点性の向上や市全域の経済発展につなげていかねばならない。
公約である「選ばれる都市」を実現できるか、手腕が問われる。
駅から古町までの「にいがた2km(にきろ)」エリア関連は、23年度当初より5億7千万円多い26億3千万円を盛った。
次世代を担う若者たちに主体的にまちづくりに関わってもらおうと、公民連携で講座を開く。若い力と知恵を集め、古町ににぎわいを戻したい。
気がかりなのは、主要3基金の大幅な減少だ。地震への対応で、22年度末の約104億円から23年度末見込みが44億円に減る。
市は「あらゆる分野の事業や事務で効率化や適正化を進める」などとし、24年度は基金を取り崩さない財政運営に努める。市民サービスを低下させず、メリハリのある事業執行が求められる。