「医師の働き方改革」が2024年4月に始まる。新潟日報社は新潟県内の病院にアンケートを実施し、医師不足の中で改革を進めていく難しさに戸惑う医療現場の実態が克明となった。改革による影響は各病院の運営にとどまらず、地域全体の救急医療体制にも波及する可能性がある。24年1〜2月に県内117病院を対象に実施したアンケート調査(77病院が回答、回答率65・8%)の結果を詳報する。(5回続きの1)

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 2022年度に時間外・休日労働が年960時間を超えた医師がいる病院は10病院(13・0%)あった。

 働き方改革の効果について尋ねると、医師の働く環境が「改善される」が12病院(15・6%)、「少しは改善される」が33病院(42・9%)と、改善を見込む病院が合わせて6割を占めた。

 時間外労働の規制によって「常態化している長時間労働が見直される」(上越の民間病院)、「医師が労働時間に関心を持ち、自己管理が進むと期待できる」(中越の民間病院)などの意見があった。

 一方、改善を見込む病院であっても「業務量を減らすか、国内全体の医師数を増やさなければ大幅な改善は期待できない」(中越の公立病院)など、医師不足が根本的に解決されなければ、改革の効果は限定的との意見も目立った。

 一方、医師の働く環境は「改善されない」と答えたのは8病院(10・4%)で、下越の民間病院は「地方の医師不足、偏在をさらに深刻化させる」とし、働き方改革が地域医療体制や患者側に及ぼす影響を懸念した。

 医師の負担軽減を図るため、各病院が現時点で取り組んでいる対策(複数回答)は「医師事務作業補助者の外来や病棟への配置」が47病院(61・0%)、医師業務を看護師や技師らと分担する「タスクシフト・シェア」は46病院(59・7%)と、多くを占めた=上の表参照=。

 「夜勤・当直体制の見直し」「医師の増員」「ICTを活用した業務の効率化、省力化」も3割を超えた。

アンケート方法

<アンケート方法>新潟日報社が県内117病院を対象に、1〜2月に実施した。各病院長宛てに依頼文を送付し、病院側が原則オンラインの回答フォームに直接入力する方式で受け付け、77病院から回答を得た(回答率65・8%)。回答した77病院を分母として集計した。3月1日に開院した済生会新潟県央基幹病院(三条市)は統合された県立燕労災病院(燕市)が回答した。

(注)小数点第2位を四捨五入したため、比率の合計が100%を超えるデータがある。

特集<2>病院運営

特集<3>宿日直許可

特集<4>地域医療

特集<5>インタビュー・新潟大学病院冨田善彦院長

「医師の働き方改革」についての情報やご意見を、新潟日報社報道部医療担当にお寄せください。メールアドレスは、houdou@niigata-nippo.co.jp

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