東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題などが議論された厚生環境委員会=12月10日、県議会
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題などが議論された厚生環境委員会=12月10日、県議会

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。での事故を想定して新潟県が実施する被ばく線量シミュレーションの前提条件などを巡り、県議会12月定例会の厚生環境委員会では10日、各党会派から批判や疑問の声が上がった。

 県が行うシミュレーションは、原子力規制委員会が9月に公表した仮想の原発で事故が起きた際のシミュレーションを参考に、柏崎刈羽原発の出力や気象データを当てはめる。規制委のシミュレーションは重大事故対策が機能する前提で行われており、県も同様の前提で実施する。

 委員会で、県はシミュレーションの対象は7号機のみであることを明らかにした。これに対し、自民党の柄沢正三氏(長岡市・三島)は、東電が来年6月に6号機の燃料装塡(そうてん)を行う日程を公表していることを踏まえ、「東電は6号機と7号機を一緒に動かすつもりだ。シミュレーションを修正すべきではないか」と疑問を呈した。

 県原子力安全対策課の金子信之課長は「安全対策工事や検査が終了している7号機でまずやる」との考えを強調。柄沢氏が再三見直しを求めた結果、原直人防災局長は「懸念は理解した。意見を踏まえて考えていきたい」と応じた。

 また、未来にいがたの牧田正樹氏(上越市)は、重大事故対策が奏功した場合のみの想定に懸念を示し、「何通りかやった方がいい。新規制基準でも、万が一がある」と指摘。未来にいがたの土田竜吾氏(上越市)も「過酷事故を想定せずに行って意味があるのか」と...

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