
聖籠町のサクランボ生産者が、昨年に続く不作に頭を痛めている。昨年は前年の猛暑と少雨が影響したが、今年は春の天候不順が響き、収穫量が例年の3割程度に落ち込んだ品種もある。関係者は「気候の変化で年によって収穫量が極端に減る年がある。離農者が増えるのも仕方ない」と肩を落とす。(新発田総局・金澤朋香)
聖籠町のサクランボは県内生産量の約9割を占める。町の名産品として知られている農作物だが、2年連続の収量減に生産者の表情はさえない。「今年は4月の天候が不作の大きな要因だ」。町内の約80人が参加する町桜桃栽培出荷組合の加藤文夫組合長(70)は指摘する。
サクランボの花が満開になった4月20日ごろの気温が例年より低く、ミツバチの活動が低調だった。このため、花の受粉も不調で、実になった数が例年より大幅に減った。
中でも深刻だったのは主力品種の佐藤錦だ。約20アールで栽培する聖籠町二本松の生産者(79)は「特に佐藤錦が駄目だった」と話す。この農園では10種類以上のサクランボを育てているが、直売所に並べることができたのは例年の4割程度。佐藤錦は実を付けるのに他の品種より多い花粉が必要で、例年の3割しか収穫できなかったという。
町内の別の生産者は「直売する分を確保するのが精いっぱい。市場に回す余裕はまったくなかった」と話す。
こうした現状は町のふるさと納税の返礼品にも影響を及ぼしている。町が返礼品としている「聖籠産さくらんぼ(佐藤錦L以上)500g」について、収穫量が見込めないため、本年度分の受け付けを、例年より1カ月ほど早く停止した。
JA北新潟(新発田市)によると、町で生産されるサクランボのうち、JAに出荷されるのは3割程度。不作だった昨年の出荷量は4トンだったが、今年はさらに少ない3・5トン程度を見込む。
JA北新潟の担当職員は「温暖化で栽培に適した環境ではなくなってきている。農家にとって苦しい年が続いており、...