改正民法が可決、成立した参院本会議=2024年5月
 改正民法が可決、成立した参院本会議=2024年5月
 退院の日、桜が咲き始めていた(アイさん提供)
 入院中の息子を看病する日々
 代理人を通して届いた彼からのメッセージ(アイさん提供)
 絵本を読む息子(アイさん提供)
 息子の退院の日に外れた患者のバンド(アイさん提供)
 画面を食い入るように見つめる息子

 東京都内でグラフィックデザイナーとして働く松本アイさん(仮名、40代)は2022年、妊娠した。彼に「結婚しよう」と言われ、婚約。広めの新居に引っ越した。

 ところが、状況は一変する。彼は親族に結婚を反対されると、婚約を破棄。アイさんが里帰り出産のため新居を空けた隙に、鍵を置いて姿を消した。

 翌年、息子を出産。その2カ月後、彼は弁護士を通じて連絡してきた。内容は「養育費は月1万6千円を支払う。育児には協力しない」。

 がくぜんとしたが、悲劇はこれで終わらない。息子に小児がんが見つかったのだ。致死率50%。不安に襲われた。今後どうしていけばいいのか。一番に相談すべき彼は行方知れずだ。

 生活費に加え、...

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