「ケアの物語」
 「ケアの物語」

 ケアとは他者を思いやり、いたわることだ。効率重視の社会では軽視されたり、一部にその負担が偏っていたりする。昨今、交流サイト(SNS)では殺伐とした言葉が飛び交う。ますますケアから離れた世の中になっているようにも思える。

 「文学作品を読み解く力は、現実を組み替える力に変えていくことができる」。英文学者の著者がケアの観点からさまざまな作品を読み解き、生きづらい時代を生き抜くすべを考えた。「戦争」「愛」など10のテーマで、文字通り「ケアの物語」を見いだしてゆく。

 読み解きの中心になるのは英文学の古典「フランケンシュタイン」。人造人間が自らを創った科学者に復讐する物語だ。ただし縦横無尽に作品の「声」...

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