花札をモチーフにした絵が並ぶ個展「猫の足尾銅山―光と闇」=2025年6月、東京・六本木のギャラリー「オオタファインアーツ」
 花札をモチーフにした絵が並ぶ個展「猫の足尾銅山―光と闇」=2025年6月、東京・六本木のギャラリー「オオタファインアーツ」
 足尾銅山の煙害で廃村となった旧松木村跡に残る墓石。後方は鉱滓(こうさい)の山=2017年8月、栃木県日光市
 栃木県日光市の足尾銅山跡近くで営まれた朝鮮人73人の追悼式=2025年7月27日

 かつて日本一の銅の産出量を誇り、1973年に閉山した栃木県の足尾銅山。排出された鉱毒により、周辺地域に甚大な被害をもたらした日本最初の公害問題で有名だ。

 銅山を運営していた古河鉱業(現・古河機械金属)は今年創立150年を迎え、今夏、日光市に「足尾銅山記念館」をオープンする。展示は「足尾の光と影」と銘打ち、公害と、公害を「克服」した技術発展の歴史を強調する。

 だが「影」は公害だけではない。太平洋戦争中、銅山では連合軍捕虜や中国人、朝鮮人が強制労働させられた。地元ではどう語られてきたのか、あるいは語られなかったのか。(共同通信=市川太雅、宮脇奈月子)

 ▽鉱山城下町・足尾

 日光東照宮などの世界遺産...

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