
福岡大空襲の体験を語り合う会で話す円応寺の三木和信住職=6月15日午後、福岡市
あの夜はいつもと違う夜だった。太平洋戦争末期の1945年6月19日、米軍のB29爆撃機200機余りによる無差別爆撃で、福岡市中心部は焦土と化した。「福岡大空襲」。この空襲で犠牲になった人は900人を超える。
13歳で被災した福岡市南区の入江住子さん(93)は焼夷弾の雨の中を逃げ惑い、家族6人が命を取り留めた。どうして助かったのか―。答えは出ないまま、80年が過ぎた。最近ではウクライナや中東での戦禍を目にするたびに、当時の恐ろしさを思い出す。「どうして戦争はやめられないんでしょうか」。平和を祈る日は以前より増した。(共同通信=滝田汐里)
▽寺で営まれた慰霊祭、住職は涙ながらに「生きた心地がしな...
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