上田誠二さん
上田誠二さん
古関裕而氏
3月10日の陸軍記念日の大音楽行進参加のため練習する陸軍戸山学校軍楽隊=1929年2月(日本電報通信社撮影)
1943年10月、明治神宮外苑競技場で行われた「出陣学徒壮行会」で行進する学生ら(本間金資氏提供)
1943年10月、明治神宮外苑競技場で行われた「出陣学徒壮行会」

 戦争と音楽。一見あまり関係がなさそうだが、日本の近代の歴史を調べていくと、深いつながりが浮かび上がってくる。軍隊になじみ、支持する国民を育てるため。そして軍国主義体制に協力し、戦争遂行に積極的に加担する国民を生み出すために音楽が果たした役割とは?

 今年は戦後80年。近現代史が専門で、音楽史にも詳しい上田誠二・日本女子大准教授に話を聞いた。(共同通信編集委員・福島聡)

▽国民の身体を「規律化」する

 ―明治維新で音楽はどう変化した?

 「維新後に富国強兵のスローガンの下に陸海軍が発足し、音楽を演奏する軍楽隊も置かれました。近代的な軍隊にラッパは不可欠でした。士気を高め、突撃や撤退など兵士が一斉に素早...

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