
今夏の世界水泳選手権・競泳男子400メートル個人メドレーで銀メダルを獲得したが、悔しそうな表情の松下知之=シンガポール(共同)
スポーツで世界の頂点に立つには、人間性の勝負となることがある。今夏、シンガポールで開かれた世界水泳選手権の競泳で日本のエース、松下知之(東洋大)は男子400メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した。目標とした金メダルには届かなかったが、昨年のパリ五輪に続く2位は価値がある。しかし、不本意だったのは、目指したレース展開ができなかったことだ。20歳の若者に何が起こっていたのか。(敬称略、共同通信編集委員 正田裕生)
▽遅れた前半
8月3日、8日間の競泳の最終日。松下は満を持して臨んだ。挑む相手はこの種目の世界記録保持者でパリ五輪4冠の王者レオン・マルシャン(フランス)。五輪で松下は4分8秒62で...
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