
ワシントンの米国際開発局(USAID)本部の壁から、金属文字を取り外す作業員。米国の対外援助を象徴する「屋号」が30分足らずで撤去された=2025年2月(ゲッティ=共同)
2月7日の金曜日。冬晴れの米首都ワシントン。対外援助を担う連邦政府の行政機関「米国際開発局(USAID)」本部は、物々しい雰囲気に包まれていた。
工具を携え、高所用リフトの作業台で身構える男たち。エントランスの石壁には、USAIDを表す30余りの金属製のアルファベットが埋め込まれている。
午後2時半すぎ、男たちは金属文字を剥がし始めた。瞬く間に取り外されるアルファベット。文字を打ち付けていた無数の穴だけが、痘痕のように壁に残された。
ケネディ政権期の1961年に発足したUSAID。世界各国への援助を支えてきた。64年の歴史に終わりを告げる「屋号」の撤去。粛清の嵐の始まりだった。
▽「おまえは...
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