ワシントンの米国際開発局(USAID)本部の壁から、金属文字を取り外す作業員。米国の対外援助を象徴する「屋号」が30分足らずで撤去された=2025年2月(ゲッティ=共同)
 ワシントンの米国際開発局(USAID)本部の壁から、金属文字を取り外す作業員。米国の対外援助を象徴する「屋号」が30分足らずで撤去された=2025年2月(ゲッティ=共同)
 ワシントンの米国平和研究所の正面玄関前に立つコリン・オブライエン。警備の統括責任者時代は上司や同僚に恵まれ「人生最高の仕事だった」と振り返った=2025年8月(撮影・リック・フリードマン、共同)
米国・ワシントン

 2月7日の金曜日。冬晴れの米首都ワシントン。対外援助を担う連邦政府の行政機関「米国際開発局(USAID)」本部は、物々しい雰囲気に包まれていた。

 工具を携え、高所用リフトの作業台で身構える男たち。エントランスの石壁には、USAIDを表す30余りの金属製のアルファベットが埋め込まれている。

 午後2時半すぎ、男たちは金属文字を剥がし始めた。瞬く間に取り外されるアルファベット。文字を打ち付けていた無数の穴だけが、痘痕のように壁に残された。

 ケネディ政権期の1961年に発足したUSAID。世界各国への援助を支えてきた。64年の歴史に終わりを告げる「屋号」の撤去。粛清の嵐の始まりだった。

 ▽「おまえは...

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