3人家族のわが家なら1日に何度トイレを使うだろう。起きてすぐ、食事の前後、寝る前と数えていくと20回近くは世話になる。先日訪れた防災フェアで、水が止まりトイレが使えなくなる問題を見かけ気になった
▼内閣府が先週発表した世論調査によると、家庭で3日分以上の携帯・簡易トイレを備蓄する割合は27・5%だった。わが家を確認すると、心もとない数しかなかった
▼災害時にトイレを心配して水分を控えるのは良くない。水分補給や適度な運動が不足すると、血栓ができて命にも関わるエコノミークラス症候群の心配がある。2004年の中越地震でも課題となった
▼携帯トイレにはさまざまなタイプがある。看護師で防災士の髙野明子(めいこ)さんは女性用の「ちぃかっぷ」をおととし商品化した。プラスチック製で、カップ型に組み立ててビニール袋を付ける。立ったまま使え、持ち運びにも便利だ
▼高校1年の時、中越地震でのボランティア活動が原体験となる。何かできないかと、発生から3週間後に北海道から1人で見附市に入った。医療団の活動に心を動かされて看護師を志し、近年は防災に力を入れる。能登半島地震の被災地にはちぃかっぷを送った。夜の避難所のトイレは暗くて怖いと思う女性もいる。「食べていい、飲んでいい、出してもいいよと言いたい」と気遣う
▼中越地震から21年がたった。防災グッズは他にもいろいろとある。毎日は無理でも思い立ったら確かめてみる。少しの準備がわが身や家族を守る。













