
今回は「なぜ年を取ると…」シリーズの第3回として、回顧したくなる脳の仕組みについて話してみたいと思います。筆者は、毎日と言っていいほど人に会い、話を交わす生活をしています。医者であり、脳科学者をしている職業でもあり、初めてお会いする人がほとんどです。
実際にお会いする場合、1時間、時には3時間も話し込みます。このような生活を長く続けているにもかかわらず、ふと思索にふけるとき、最近お会いした人よりも、昔の同僚を思い出したり、古い友人に会ってみたくなったりします。
この回顧する脳の働きはなぜ起こるのでしょうか。よくよく思い返してみると、30代、40代には、回顧する時間がほとんどなかったように記憶...
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