
80代の語り部が長岡空襲の体験を語った座談会=5月13日、長岡市の長岡戦災資料館
1945年8月1日の長岡空襲からことしで78年となる。新潟県長岡市では、長岡戦災資料館が中心となり、空襲を体験した市民が当時の状況を語る座談会などを企画し、記憶を次世代に伝える。ただ体験者が高齢となる中、戦争の記憶を次世代にどう伝え、平和の大切さを実感してもらうかが難しい課題となっている。長岡をはじめ、全国で模索が続く。(長岡支社・今井かおり)
5月中旬、長岡戦災資料館で、2023年度の1回目の空襲体験座談会が開かれた。語り部として登録する長岡市栖吉町の白石美千雄さん(86)と、体験者の渡辺葉子さん(87)が市内を流れる柿川に飛び込み、助かった体験などを語った。
座談会は2003年7月の開館当初から企画し、新型コロナウイルス禍で休止した20、21年度を除き、毎年実施。語り部登録者らが体験を伝えてきた。
ただ語り部は高齢化が進む。登録者は3人から8人に増えたが、平均年齢は73歳から87歳に上がった。戦災資料館は語り部の募集を続けているが、高齢で辞める人もおり、登録者数は近年横ばいだ。
空襲で姉を亡くした池田ミヤ子さん(89)=同市住吉1=は21年に登録した。この年に亡くなった語り部、金子登美さんの女学校時代の友人で、金子さんが亡くなる前に推薦したという。池田さんは「人前で話すのは得意ではないが、話を聞いた人が平和の大切さを考えてくれるなら」と引き受けたという。

ただ、順調に登録に至る例は...
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