政府は東京電力福島第1原発事故の発生以降に掲げていた「原発依存の低減」を改め、原発を最大限活用する方針に転換しました。12月からは新潟県の柏崎市と刈羽村に立地する東電柏崎刈羽原発の再稼働に向け、資源エネルギー庁が新潟県内28市町村を回って説明会を開く異例の対応を行っています。

 こうした動きや再稼働問題を新潟県民はどう受け止めているのでしょうか。新潟日報社では、全会場の様子を取材し、質疑応答で語られた率直な声を順次紹介していきます。

【見附会場の主な質疑】

参加者 19人
回答者 資源エネルギー庁原子力立地政策室長

資源エネルギー庁による原発などに関する説明会=2024年12月12日、見附市の葛巻地区ふるさとセンター

 Q(男性) 新規制基準による審査の中で、県内の断層やその連動をどう検討したか。また、風向きで放射性物質の影響が出る地域は変わると思うが、その確認や情報発信は国がやるのか、都道府県なのか。

 A 原子力規制委員会は、さまざまな考慮をして(耐震設計の目安となる)基準地震動を決めている。さまざまな知見も収集し、新たな知見で評価し直した方がよいとなれば、(運転の)許可が出てもさかのぼって考え直す。

 国際基準では重点的に避難計画をつくる定めがある地域が(原発から)30キロ。あらかじめ風向きで避難の在り方を決めるより、実際の放射線量の観測状況で避難や解除という考え方をしている。

 Q(男性) 見附市は30キロ圏内に入っている。福島事故の被害に遭った人の現状はひどい。柏崎刈羽原発は安全と言うが、今までの原発も安全と言って事故を起こした。IDカードを他の誰かに渡したなど、そんな人間がやっているところに信頼して任せられない。柏崎刈羽原発の再稼働は絶対反対だ。

 A 福島の復興はまだ道半ば。福島の廃炉、復興は政府の最重要課題だ。福島事故を踏まえて新しい規制基準ができた。安全神話に決別し、安全性向上に向けて不断に取り組むことが原点だ。東京電力に対する信頼の部分はまだまだ課題がある。自律的な改善は当然だが、外からの目で指摘をもらいながら改善していくことも大事。

 Q(男性) 柏崎の近くに、まだ発見されていない想定外の断層があるのではないか。新たな断層が見つかった時に、どのような形で知らせるのか。放射性物質が拡散した時に備え、モニタリングポストは隅々にあるとよいと思うが、各市町村にあるのか。...

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