
温暖化をはじめ、さまざまな要因が絡み、海や川の環境が変わっています。魚や海藻といった恵みにも響き、食文化に関わってきています。海や川が発するシグナルには、いろいろな警告やメッセージがあるはず。長期企画「碧(あお)のシグナル」では、それを読み解きながら、次代に恵みをどうつなぐのか探ります。初回シリーズ「変わる新潟の魚影」では、漁師らの思いに迫ります。(8回続きの5)
魚影が淡くなったものもあれば、濃くなるものもまた。新潟県で代表なのはサワラ。海水温の上昇でやってきた「南の魚」だ。村上市の岩船港や新潟市北区の南浜船だまりをはじめ、各地で取れる。ただ食卓でおなじみになったかというと-。
関西随一の大阪市中央卸売市場の卸売業者「うおいち」(大阪市)では、新潟産のサワラを扱うことが「当たり前」になっている。担当者は「脂の乗りが良い。(1ケース2〜4匹入りで)日に100〜200ケースは出荷する」という。
「サワラを新潟の市場で仕入れ、西日本に送り出すことが多い」。新潟県の水産卸売大手、新潟冷蔵(新潟市江南区)社長の風間宏一さん(60)もこう話す。西京漬けに塩焼き、刺し身と食べ方は幅広く、関西では根強い需要がある。
「刺し身にしてもうまい。ちょっとあぶればなおさら」と風間さん。ただ新潟県での人気はいまひとつ。「肉質がやや柔らか過ぎ、新潟県の人の舌になじんでいない」とみる。

「当たり始めたら、一晩中釣れるよ。2人で4本のさおを扱うけど、1本釣れたら次のさおにも掛かっている。くたびれるほどだ」
新潟漁業協同組合岩船港支所の支部長の脇坂三重城(みえき)さん(77)は笑う。釣り船「栄伸丸」の船頭を務めつつ、漁師を継いだ長男と一緒にサワラ漁に出る。
漁師歴62年。タイやヒラメ、カレイなどを取ってきた。ここ30年ほどは、はえ縄漁でノドグロも狙う。新潟県がブランド化を目指す高品質のノドグロ「美宝(びほう)」を取れる県内7隻のうちの一つにも選ばれた。そのベテランが「サワラが釣れたとき、なんでこんな魚がと思った」と振り返る。
県水産海洋研究所によると、サワラは...