政府は東京電力福島第1原発事故の発生以降に掲げていた「原発依存の低減」を改め、原発を最大限活用する方針に転換しました。12月からは新潟県の柏崎市と刈羽村に立地する東電柏崎刈羽原発の再稼働に向け、資源エネルギー庁が新潟県内28市町村を回って説明会を開く異例の対応を行っています。

 こうした動きや再稼働問題を新潟県民はどう受け止めているのでしょうか。新潟日報社では、全会場の様子を取材し、質疑応答で語られた率直な声を順次紹介していきます。

【新発田会場の主な質疑】

参加者 29人
回答者 資源エネルギー庁原子力立地政策室長

 Q(男性) 新発田市は見附市からの避難先となっているが、避難計画に実効性があるのか疑問だ。風向きによっては、新発田市にも柏崎刈羽原発から1時間弱で放射性物質が到達するとも言われる。

 A まずは最初の備えとして避難の場所を選定しているが、足りない場合はさらに調整していく。実効性は訓練を重ねて高めていくことが大事。新発田にも放射線のモニタリングポストを設けている。仮に放射線量が上昇すれば、屋内退避や一時移転の可能性も否定はしていない。

 Q(男性) 福島県は太平洋側に原発があるが、新潟県は日本海側にある。偏西風は西から東に向かって吹くため、陸地に向かって放射性物質が流れる可能性があると思う。新発田市民も避難しなければいけなくなるのではないか。

 A 福島事故では、風が北西方面に吹いたので、放射線の線量が高い区域が発電所から北西の方角に伸びた。福島事故では、放射線による被害に遭われた方はおらず、避難によって体を害した方が多いのが実態だ。「まずは屋内にいてください」というのが今の避難計画。放射線の測定により、避難するかどうか判断していく。福島事故では結果的に(放射性物質が)30キロ圏を越え、避難指示区域が広がった。こうしたことも一つの教訓だ。

 Q(男性) 万が一、事故が起これば、責任は政府にもあるのではないか。能登半島地震では、多くの家屋が倒壊した。屋内退避は現実的ではない。

 A 国は国民の生命、身体、財産を守ることが責務だ。万が一の時は実働部隊による事故の収束や、避難、物資供給などの対応をする。複合災害では、まずは自然災害から身を守ってもらうことが大事だ。屋内退避が難しければ、指定の避難所などに身を寄せてもらうことになる。

 Q(男性) チェルノブイリ原発事故の現場に行ってみて、住民が安心でき、永続的に発展できる新潟県にするためには、原発を止める必要があると感じた。

 A チェルノブイリは原子炉の構造が福島とは違い、(放射線の影響で)実際に体を壊した方や亡くなった方もいる。体への影響は異なっており、福島では避難によって体を壊したり亡くなったりした方がいた。絶対にあってはならないこと。新規制基準ができたが、安全神話に陥ってはいけない。一方で日本は資源が少なく、あらゆる電源を使っていくことが大事。安全最優先で、...

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