
香山リカ
“人間の医者”がAIよりすぐれている点は何だろう。そんなことを考えさせられる記事がアメリカの経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」に載っていた。そのタイトルは、「AIが慢性的な痛みの治癒を助けてくれた」である。
記事の書き手である若い男性が、あるときから頭痛や胃のけいれん、倦怠(けんたい)感に襲われるようになる。彼は神経内科、耳鼻咽喉科、消化器内科などの専門医を訪ねるが、「どの医師も部分的な治療しか提供してくれず、全体像を把握できる医師はいなかった」とのことで、症状の改善も見られなかった。
困り果てた男性は、症状と生活の記録、治療履歴などをAIに読み込ませてアドバイスを求めた。すると、AI...
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