
ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見場に向かう京都大の北川進氏(左)=8日午後7時34分、京都市左京区
ノーベル化学賞に決まった北川進京都大特別教授らが開発した金属有機構造体は、無数の穴に物質を自由に出し入れできる「多孔性材料」の一種だ。果物の鮮度維持からガスの安全な貯蔵、二酸化炭素(CO2)の回収などにもつながる可能性を秘め、エネルギー・環境問題の解決への切り札として期待されている。
▽無用の用
「興味を持って挑戦していくことと、ビジョンが必要だ」。受賞決定後の記者会見で、北川さんは成功の秘訣を問われ、こう答えた。
始まりは1980年代にさかのぼる。オーストラリア・メルボルン大のリチャード・ロブソンさんが、無数の大きな穴を持った結晶を作製した。マンションのように規則的に部屋が並んだ巨大な構造...
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