新潟空港を拠点とする格安航空会社(LCC)トキエアの就航準備が最終盤に入った。
新型コロナウイルス禍で運休していた国際線も、1月の台湾・台北線に続き、2路線目の中国・上海線が再開する。
交流機会が増えることで空港の活性化を目指したい。県内に新風を吹き込むことになるだろう。
3月に航空運送事業許可を取得したトキエアが、最初の路線となる札幌・丘珠(おかだま)線の運賃と運航ダイヤを発表した。
日本航空と全日本空輸が運航する新千歳線と競合するが、価格面の優位性を狙って、通常期の普通席だと1万円程度安くした。
フランスATR社製の小型プロペラ機が1日2往復し、10月28日までは金-月曜の週4日、以降は毎日を予定する。
県内の利用者や旅行会社は歓迎している。片道6900円の最低価格は学生など若者にも利用しやすく、発着時間はビジネス利用などに配慮しているからだ。
懸念が残るのは、8月10日の予定だった丘珠線就航を再延期し、8月下旬としたことだ。
大資本の後ろ盾や親会社を持たないトキエアが、安全性などを審査する国と手探りでやり取りしたため、時間を要したことが背景にあるのだろう。
度重なる延期には観光関係者から連携に不安の声も上がる。だが航空会社にとっては安心・安全の確保は重要だ。丁寧な説明と迅速な対応が欠かせない。
一方、国際線では8月26日に中国東方航空が上海線を再開する。3年半ぶりの運航で、運休前と同じ週2往復となる。
県はウイルス禍前まで主力だった韓国・ソウル線、中国・ハルビン線の再開にも積極的に交渉を進めるべきだろう。
課題は多い。搭乗手続きや荷物積み下ろしなどの業務は全国的に人手不足だ。県は地上職員の採用や教育への補助を通し、受け入れ体制を整える必要がある。
国際線の再開には、インバウンド(訪日客)はもちろん、ビジネスなどで海外に出向くアウトバウンドの需要増が求められる。
再開に備え、旅行代理店には新潟空港発のツアーを企画するなど準備を進めてほしい。
空港が活性化すれば県経済の好循環が期待される。遠隔地から本県への玄関口に当たる空港の態勢整備や機能拡充を急ぎたい。