今回は、初冬の風物詩についてのお話です。紅葉を終えた越後の山々は、一層冷えてきます。それぞれの家では、冬支度が始まります。

 わが家の冬支度の名物は、母の落花生の仕上げです。5月の初旬に畑にまいた種は、2カ月ほどで黄色い優しい花が苗の根元近くに咲きます。花が十分に咲ききったころを見計らって、くわで花を隠すように土を載せていきます。夏から秋の深まりまで落花生の畝(うね)を手入れしながら見守ります。10月の末ごろから落花生の株を掘ります。栽培が盛んな千葉県では「地干し」した後で「野積み」して乾燥させるようです。

 母の落花生は家族が食べる分量なので、自宅の縁側で天日干しします。その姿は、生まれたばか...

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