国と県の原子力防災訓練で、砂浜から海自のLCAC(揚陸艇)に乗り込む住民。この後、沖合で輸送艦「おおすみ」に乗船する=10月28日、柏崎市中央海水浴場
国と県の原子力防災訓練で、砂浜から海自のLCAC(揚陸艇)に乗り込む住民。この後、沖合で輸送艦「おおすみ」に乗船する=10月28日、柏崎市中央海水浴場

住民避難編「複合災害」の<下>から続く

 東京へ、首都圏へ世界最大級の原発は電気を送り続けた。新潟県に建つ東京電力柏崎刈羽原発。一体誰のための原発なのか。何をもたらしたのか。新潟日報社は長期企画で、新潟から原発を巡る疑問を考えていく。プロローグでは「住民避難」を考える=敬称略=。(住民避難編・10回続きの3)

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市と刈羽村から、住民がヘリコプターや船舶、バス、自家用車などで遠ざかっていった。

 2023年10月下旬、原発での重大事故を想定して国と新潟県が行った原子力防災訓練。移動を伴う避難に参加した約1400人の行き先は、県境に接する村上市や湯沢町、妙高市などにまで及んだ。

 参加者からは「訓練でできないことは、いざという時にもできない」と、参加の意義を語る声が多く聞かれた。動いてみて、有事の際に懸念されることに気付いた人もいる。

原発事故を想定した訓練で海自の輸送艦「おおすみ」から直江津港で下船する住民。この後、バスで妙高市へ移動する=10月28日、上越市

 「地震で...

残り778文字(全文:1166文字)