今回は、私の長年の脳研究テーマの一つである「ひとり言」のお話です。

 ひとり言というと何やら一人でブツブツを話していて、気になるし、「人がいるのに周りを気にしないのかな」と思うこともあるでしょう。確かに、精神障害や発達障害、あるいは認知症を患っている人の中には、ひとり言がコントロールできずに症状として出る方もいます。ですが、健康な人も言います。なぜ人はひとり言を話すのでしょうか。

 私は、ひとり言は、脳が成長したいというサインだと考えています。脳をイキイキと働かせて、成長しようと人はみな「ひとり言」を言っているのです。実際に、抑うつ症状がひどくなり、引きこもるようになると、ひとり言も言わなくなっ...

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