
夕空に浮かび上がる原爆ドームのシルエット=8月5日、広島市中区
原爆投下から80年。「核の脅し」で戦争を続ける独裁者、これに核軍拡で呼応しようとする指導者がいる。被爆国の政治家の中にも核兵器の効用を主張する者が現れた。
あの日の凄絶な体験、その後心身を襲い続けた原爆症とトラウマ、世間の無知が引き起こした差別や偏見、子や孫への深い思い―。そんな「被爆の実相」を私たちは本当に理解できているか。
「父と2人で、『母を助け出せないなら、一緒に死のう』と話しました。でも母は私に『(自分の)娘をどうするの。あんたは逃げんさい』と言いました。左足に大けがをしていた私は、一人では歩けません。父は決意しました。『行こう』と言い、泣いていました」
7月最後の日曜日。東京の被...
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