日本など多くの国・地域に対するトランプ米政権の新「相互関税」発動は、覇権国の米国が世界貿易を牛耳る体制を築きつつある実情を示す。貿易赤字縮小を大義名分に米政府は関税率を自国に有利になるよう一方的に決め、通商の支配者のように振る舞う。このような暴挙を許してはならない。国際社会は結束して事態を打開すべきだ。
7月末、トランプ大統領は約70の国・地域への相互関税率を示す大統領令に署名した。税率は10~41%と高率である。米政府は日本と欧州連合(EU)に巨額の投資も約束させた。戦後の世界経済を支えた自由貿易体制を揺るがす、極めて保護主義的な措置である。
通商ルールの策定は本来、世界貿易機関(WTO)...
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