
福島第1原発構内に林立するタンク群=7月29日、福島第1原発(写真映像部・永井隆司撮影)
東京電力福島第1原発の事故対応で発生した処理水の海洋放出開始から2年となるのを前に、福島第1原発を取材した。処理水は大量の海水で薄めた上で海底トンネルを通じて放出され、実際の放出状況は陸上から見ることはできない。事故から14年が過ぎた構内は落ち着きを取り戻し、事故直後から大きく変わった印象を受けた一方、当時を生々しく伝える施設は残っていた。(論説編集委員・仲屋淳)
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福島第1原発は福島県大熊町と双葉町にまたがる。取材した7月末は本年度2回目の海洋放出が行われていた。
原発敷地から約1キロ先の沖合に、海水で希釈した処理水を海底トンネルから放出する場所はある。海を見れば、放出の様子が分かるのかと質問すると、東電担当者は「べたなぎの時になんとなく、ふわっと出ているかなというくらい」と答えた。
構内には巨大なタンクが約千基、ひしめき合うように並んでいた。海洋放出によって...
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