
「全員タナカヒロカズ」
子どものころ、電話帳で自分と同じ名前を探したことがある。ありふれた姓と、普通だが多くはない名の組み合わせ。そこそこの規模の地方都市だったが、同姓同名が2人いた。全国に何人の「自分」がいるのだろうと、不思議な気持ちになったことを覚えている。
著者の田中宏和さんは25歳の時、田中宏和がプロ野球ドラフト会議で指名され、また別の田中宏和が南方熊楠の研究書を出していることを知る。以後、各方面の田中宏和情報を収集。本書は同姓同名のつながりが拡大していくさまをつづったノンフィクションである。
同じ名前の人がいれば会ってみたくなる。複数人になったので宴会を開き、人数が増えたので貸し切りバスツアーを敢行し、全...
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