
「戦時中の日本の軍事技術は、戦後の高度経済成長期の礎になっている。それは確かです」と話す伊東潤さん
戦艦大和の建造に青春をささげた若者らの姿を描いた「鋼鉄の城塞」(幻冬舎)を戦後80年の節目に出版した作家の伊東潤さん。時代に取り残された世界最大の戦艦建造プロジェクトを、フィクションを交えた群像劇で活写した。
戦国などの時代小説の印象が強いが「その辺りの時代は、若手の作家がたくさん書いている。昭和までは、私の守備範囲。手を付ける人が比較的少ないが、そういう時代の方がやりがいがある」と明かす。
主人公は、京都帝国大工学部造船学科を卒業したばかりの占部健。あこがれの海軍に入り、国家の命運をかけた戦艦の建造に携わることになる。
広島・呉の海軍工廠を舞台に、海軍の上層部の無理な要求や軍事機密に縛られ...
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