原子力規制委員会の委員退任会見に臨む伴信彦氏=18日、東京・六本木
原子力規制委員会の委員退任会見に臨む伴信彦氏=18日、東京・六本木

 原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。で委員を務める伴信彦氏が18日に任期満了を迎え、東京都内で退任の記者会見を開いた。計10年の任期中に印象深かった出来事として、東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。でテロ対策上の重大な不備が相次ぎ、追加検査を続けた事案を挙げた。「東電は独特の組織文化を持っている。元に戻らないよう、油断せずに取り組みを続けてほしい」と求めた。

 伴氏は放射線防護が専門。2015年9月に委員に就任し、24年からは委員長代理も務めた。24年の能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろに発生した石川県能登地方を震源とする地震。逆断層型で、マグニチュード(M)7.6と推定される。石川県輪島市と志賀町で震度7を記録し、北海道から九州にかけて揺れを観測した。気象庁は大津波警報を発表し、沿岸部に津波が襲来した。火災が相次ぎ、輪島市では市街地が広範囲で延焼した。北陸電力志賀原発で事故が起きた場合の避難道路が寸断し、屋内退避先となる建物の損壊も相次いだ。後には、原発事故時の屋内退避原発事故などによって放射性物質が放出された際に、被ばくを避けるために自宅や公共施設など屋内にとどまること。国は原発からおおむね半径5~30キロ圏に住む人は、放射性物質が放出された場合は「屋内退避」するとしている。屋内退避中は戸締まりや換気設備を止めることなどが必要となり、数日間継続することも想定されている。の運用を見直す検討チームで議論を取り仕切った。

 会見で伴氏は、検討チームの見直し案に自治体から疑問点など多くの意見が寄せられたことを振り返...

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