県議と国、東京電力幹部らの議論を見守った傍聴者=16日、県議会
県議と国、東京電力幹部らの議論を見守った傍聴者=16日、県議会

 東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。問題を巡り、参考人として経済産業省資源エネルギー庁や東電のトップらが並んだ16日の県議会連合委員会。国費による避難道路の整備や1千億円規模の資金拠出といった方針が示される中、傍聴席の市民からは国や東電の説明に「カネで解決するのか」「理解できない」などと反発の声が飛んだ。

 質疑で県議側は東電に、柏崎刈羽原発の廃炉計画や東電の資金拠出など、経済対策を中心に尋ねた。県民意識調査の中間報告を踏まえ、東電の原発事業者としての適格性や安全対策についても質問が飛んだ。

 傍聴席で東電の説明に耳を傾けた新潟市中央区の主婦(77)は、地元への資金拠出などを再稼働の同意を取り付ける手段と受け止め、「柏崎刈羽原発をカネで動かす前に福島の復興を進めるべきだ」と憤った。長岡市民(82)も「カネで県民に再稼働を求めるという印象がつき、逆効果ではないか」と首をかしげた。

 エネ庁の村瀬佳史長官や内閣府ら国側の幹部は、原発で重大事故が起きた際の避難計画原発事故時に住民らが避難する場所や経路、移動手段を盛り込んで自治体が策定し、政府の原子力防災会議が了承する。東京電力福島第1原発事故後、策定が義務付けられる範囲は原発の半径10キロ圏から30キロ圏へと拡大された。事故時に5キロ圏の住民は30キロ圏外に避難し、5〜30キロ圏は屋内退避を基本とし放射線量が高くなった場合は避難する。屋内退避原発事故などによって放射性物質が放出された際に、被ばくを避けるために自宅や公共施設など屋内にとどまること。国は原発からおおむね半径5~30キロ圏に住む人は、放射性物質が放出された場合は「屋内退避」するとしている。屋内退避中は戸締まりや換気設備を止めることなどが必要となり、数日間継続することも想定されている。の運用などについて説明。避難道路を国費負担で整備する方針も語られ、午前10時に始まった連合委員会は計約6時間超に及んだ。

警備員が「静粛に」と書かれたボードを掲げて注意した場面も=16日、県議会

 傍聴席には...

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