子どもを軸に広がる地域交流の輪

「みせしょく」の活動を紹介するプロジェクトリーダーの岩崎将博さん

 全ての人が健康で豊かになるために設けられた持続可能な開発目標「SDGs=Sustainable Development Goals」。県内でも企業活動や地域づくり、市民生活に取り入れていこうと、さまざまな企業、団体が地域創生プラットフォーム「SDGsにいがた」の一員として活動を展開しています。

 昨年12月24日に新潟日報メディアシップを会場に「SDGsにいがた第5回セミナー」が開催されました。今回のテーマは「〜みんなでつくるプレゼント〜新しいこども支援のか・た・ち」。東京都内で実際に行われている子ども食堂の活動についても、リアルとオンラインで報告が行われました。

 基調講演では、株式会社テンポイノベーション(東京都)による身近な飲食店舗の強みを生かした子ども食堂「お店の子ども食堂 みせしょく」の取り組みが紹介されました。「みせしょく」では、子ども食堂における五つの課題(資金、作る人、場所、衛生面、食材)を容易に解決できるのは飲食店と捉え、都内を中心とした1都3県で飲食店を営業するテナントに子ども食堂を運営してもらい、その運営費を支援しています。

 プロジェクトリーダーの岩崎将博さんは「飲食店の個性あふれる地域貢献への思いを結実させ、子どもたちがお店に行けば、いつでもおなかと心を満たせる社会を創造します。今回のセミナーの時点で41店舗が活動に参加。2023年3月までにはテナント数も2,220件に増える見込みのため、50店舗の参加を目指しています」との説明に会場からも驚きの声が上がりました。子ども支援をきっかけに、新しい地域交流の輪が広がってきているようです。

地域の魅力を反映した子ども支援を目指して

新潟中央高等学校家庭クラブの生徒による調査研究報告

 その他、行政との連携により子どもテーブル活動(子ども食堂、居場所づくりなど)を進める社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会子ども支援課の遠藤慎之介さんによるオンラインでの事例報告、県内で子ども食堂の研究を行う新潟中央高等学校家庭クラブの生徒による調査研究報告、そして、東京・新潟のキーパーソンによるトークセッションも行われました。

渋谷区社会福祉協議会の遠藤慎之介さんもオンラインで参加したトークセッション

 トークセッションには岩崎さん、遠藤さんに加え、新潟市西蒲区で子ども食堂すけんどんを運営する井沢未希子さん、昨年、第1子を出産したNegicco Nao☆さんも参加。子ども食堂を展開する人々の思いと、実際に子育て中のママであるNao☆さん、それぞれの思いが伝えられながらも、地域全体で子どもを育てることの重要性を全員が強調していました。

 東京都と比べれば、店の数も、人の数も少ない新潟県ですが、都内で子ども支援を展開する岩崎さん、遠藤さんからは「新潟には心が豊かになる環境が整っている。それを魅力にしてほしい(岩崎さん)」「子どもが街を好きになる要素が新潟にはたくさんある。遊び方がいろいろそろっているのは新潟ならでは(遠藤さん)」とうらやむ声が上がっていたのが印象的でした。「新潟だからできる子ども支援」が、今後さらに浸透していくのではないでしょうか。