大橋洋食器傘下のSAN-ANDが開発製造した「SDGs食器」のマグカップとカトラリー。コーヒーを抽出した後の出がらしなどを素材にした。マグは、焼き具合によってほのかなコーヒー色の違いが出るという

 食器類卸販売の大橋洋食器(新潟市中央区、星野太志社長)は、食品廃棄物のコーヒーのでがらしなどを原料にマグカップやカトラリーの製造を始めた。循環型社会の実現に向け、こうした持続可能なものづくりが注目されそうだ。

 製造を手掛けているのは、大橋洋食器傘下のSAN-AND(同)。同社の「SDGs食器」として開発した。原料となるコーヒーの出がらしは、県内に直営店6店舗を構え「雪室珈琲(コーヒー)」などのブランドで知られる鈴木コーヒー(新潟市中央区、佐藤俊輔社長)から供給を受けている。コーヒー抽出後の出がらしを細かく粉砕。釉薬(ゆうやく)や陶土に混ぜ込んで焼き、陶器製のマグを作っている。

 マグカップ、カトラリーとも自社開発のほか、県内外の協力工場と連携して開発・製造している。
 SAN-ANDの北村大輝営業企画部長(43)は「手作りのマグカップは、焼き加減で色や模様が微妙に異なる一点もの。ほのかなコーヒー色が魅力です」と語る。

 大橋洋食器は、ホテルやレストランなどプロユースのテーブルウェアを企画・販売している。新型ウイルス禍で、飲食店への足が遠のき「おうち時間」を大切にする人が増える中、「レストランでの期待やワクワクを、家庭でも感じてほしい」との思い込めて個人向けの商品を開発。SAN-ANDによる新たなブランド「SAN&」を立ち上げた。「SDGs食器」もそのラインアップの一つ。

 食品廃棄物を素材にした理由の一つは、陶磁器の原料となる陶土の枯渇問題だ。陶土を採掘する鉱山の閉山・休業が相次ぎ、原料不足や原料の高騰などの深刻な影響が出ているという。「SDGs食器」は、原料不足の課題解決に向け循環型のものづくりを目指す取り組みだ。

 北村さんは、ブランド名の「SAN&」について「三度”の食事の際に寄り添い、上質な暮らしをつくる器を提供したい」との願いを込めたと話す。
 マグカップは大橋洋食器の店頭とSAN-ANDのECサイト、県内や東京都内の小売店などでも3月頃から販売される予定。

SDGs食器を手に取れるCAFE 味わい深い絶品コーヒーとデザート

 SDGs食器をはじめSAN&のテーブルウエアを使って軽食を提供するカフェが昨年、大橋洋食器の2階にオープンした。こだわりのコーヒーと紅茶、皿にきれいに盛り付けたデザート「アシェットデセール」を提供。実際の食器の使い心地を体感できる。

「SDGs食器」を実際に触れられるSAN&CAFE。大橋洋食器の2階を改装して昨年オープンした

スペシャリティコーヒーや皿にきれいに盛り付けたデザート「アシェットデセール」が楽しめる

 デザートを作るパティシエは本間星那さん(22)。新潟市の調理専門学校を卒業後、同市内にあったイタリア料理店「Fiorita(フィオリータ)」で修業した。

 この日に提供されたデザートは「とろけたかぼちゃのタルト」。上品な甘さのクリーミーな一品だ。コーヒーは国内流通量わずか5%とされる希少なスペシャリティーコーヒー。ジューシーな甘さで飲み口は心地良い舌触り。
 本間さんは「デザートは順次バリエーションを増やしていきます。カフェでくつろぎながら、食器もご覧になってください」と話している。

SAN&CAFEでデザート作りを担当する本間星那さん。「カフェでくつろぎながら器を手にとってほしい」と話す

SAN & CAFE

  • 住所 新潟市中央区本町八番町1352、大橋洋食器2階
  • 時間 11:00~17:30
  • 休み 日・祝日(インスタグラム san_and_cafe で確認を)