
能登半島地震の発生から3月1日で2カ月。甚大な液状化水分を多く含んだ砂質の地盤が、地震による強い揺れで液体のように流動化する現象。地表に水や砂が噴出したり、地盤が沈下したりする。土管やマンホールが浮き上がることもある。埋め立て地や干拓地など、緩い砂質で地下水位が高い場所で起こりやすい。条件を満たせば内陸でも発生する。1964年の新潟地震では橋や鉄筋コンクリートの建物といった大型構造物が崩れ、対策工法の開発が進むきっかけになった。阪神大震災や東日本大震災でも発生した。被害が出た新潟市西区寺尾地域を歩いた。液状化の爪痕が大きな緑ケ丘自治会では、自宅の再建やコミュニティーの再生に不安を募らせる住民の姿があった。(報道部・坂井有洋)
電気がつかず薄暗い部屋で、牧野陽子さん(60)は、家財が散乱したままの部屋を片付けていた。能登半島地震による液状化現象などで、築50年近い自宅は地面に潜るように沈下した。夫の和彦さん(64)と2人暮らし。再建は諦めた。「思い出はあるけど、全部ごみだと思って捨てないと」。大きなビニール袋を広げた。
自宅は液状化被害がひどかった西区寺尾地域の緑ケ丘自治会内にある。1階の床は盛り上がり、壁や庭など至る所に大きな亀裂が入った。新潟市の調査では「半壊」。家屋の傾きが全壊の基準に達していないと説明された。
納得できず、2次調査の申請も考えた。だが、担当者には「半壊より上は難しい。調査もいつになるか分からない」と言われた。「待っているのは疲れるだけ」と思い、申請はやめた。

中古で購入したため、地盤改良をしていたのかは分からない。地震でまた液状化したらと思うと、修繕は考えられなかった。解体は公費でできる。更地にし、今後のことは改めて考えることにした。
今は近くの2DKのアパートで...