柏崎刈羽原発の鉄塔を背に田起こしを行う農家。7号機の燃料装塡が始まったこの日も、日常の風景が広がっていた=4月15日、刈羽村
柏崎刈羽原発の鉄塔を背に田起こしを行う農家。7号機の燃料装塡が始まったこの日も、日常の風景が広がっていた=4月15日、刈羽村

 東京電力が柏崎刈羽原発 新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。7号機の原子炉に核燃料を入れる燃料装塡(そうてん)を開始した4月15日。立地自治体である新潟県柏崎市や刈羽村、同原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)では、真夏のような日差しの下で農作業を行ったり、学生同士でおしゃべりに花を咲かせたりといった日常の風景が広がっていた。住民からは、装塡について普段の生活に基づいた視点から慎重、容認といったさまざまな声が聞かれた。

 柏崎刈羽原発からほど近い柏崎市の西山地区。団体職員の女性(46)は、事務作業に従事していた。燃料装塡の一報を聞き、つぶやいた。「住民不在の決定だ。避難計画とか、やるべきことがなされずに事が進んでいくの...

残り929文字(全文:1229文字)