
政府や東京電力は需給の逼迫解消や低廉な電気の提供、脱炭素の実現に向け、新潟県に立地する柏崎刈羽原発の再稼働が必要だと訴える。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、国や事業者が「常識」とばかりに並べる再稼働の理由を検証する。(6回続きの2)=敬称略=
「東京電力柏崎刈羽原発1985年に1号機が営業運転を開始した。全7基の出力合計は821・2万キロワットで世界最大級だが、2023年10月現在は全基停止中。東京電力は2013年に原子力規制委員会に6、7号機の審査を申請し、17年に合格した。その後、テロ対策上の重大な不備が相次いで発覚した。終了したはずだった安全対策工事が未完了だった問題も分かった。が止まっているからエネルギー需給が逼迫しているというような言い方は、誘導ではないか」。2月に新潟県柏崎市で開かれたエネルギー政策に関する住民説明会。柏崎市の髙橋優一(まさかず)(72)は声を上げた。
疑問をぶつけた相手は、経済産業省資源エネルギー庁の担当者。国側が過去の電力需給の逼迫事例や燃料価格の高騰などを挙げ、原発の必要性を説明した後の質疑の場面でだった。
髙橋が質問したのは、全国的な猛暑で逼迫の恐れがあるとされた2023年8月も...
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